名画は時を越える -Cross and Fire編-

2010年10月23日 05:19

どうも、再び技術部&作品選定部の藤原です。

今日はクロージングで上映する『裁かるるジャンヌ』を紹介したいと思います。
作品の情報はこちら↓
http://www.clarktheater.jp/work_closing.htm

この作品は個人的に今年のClark Theaterで一番多くの人に観て欲しい作品です。
別に他の作品をディスってる訳じゃないです。どれも良い作品だと思うんです。
でもこれと比べちゃったら・・・ねぇ・・・。
何せ格が違います。どの辺が凄いか書きます。

まず、この作品で特徴的かつ芸術的かつ圧倒的なのはクローズアップを多用しているとこです。
多用ってレベルじゃないです。
ほとんど全編がジャンヌや審問官の顔のクローズアップで占められています。
まあ古典的な手法って言ったらそうなんですが、それでもその強烈な演出効果に息をのみます。
クローズアップがごく当たり前に使われている現代でこれを観ても、です。
とにかく登場人物の、特にヒロインであるジャンヌ・ダルクの、感情がこちらにダイレクトに伝わってくるんです。
もちろんただ単に顔をアップで撮っているだけじゃありません。
1カット1カットの微妙なカメラアングルも見てみてください。
ジャンヌの表情、ひいては感情をより効果的に見せる工夫がなされています。

さらにこの映画は、その構成も大胆です。
とにかく余計なものをこれでもかと言うほどに省いているんです。
そもそもストーリー自体、ジャンヌが異端審問にかけられ火刑に処せられるというシンプルなものですが
実際には3ヶ月かかっている裁判の内容も1日に凝縮され
せっかく製作したセットも全景が映されることは殆どなく
人物の相関関係の描写すら一切省かれ
同じ空間にいる人物の位置関係も描かれていません。
そうして徹底的に純化された中で見えてくるのは、やはり主人公の姿。
フランスの英雄としてではなく、信仰心の強い一人の少女としてのジャンヌ・ダルク。
そんな彼女の心情の軌跡が見る側に痛いほど伝わってくるのです。

そして本作の一番凄まじいシーン。それはラスト、ジャンヌが火刑に処せられるシーンです。
これはまさしく筆舌に尽くしがたい壮絶なもので、ここでは表現しきれないので書きません。
実際に観てください。鳥肌が立ちます。

んでもってまだ書きたいことは幾つかあります(主演のルイ・ファルコネッティの熱演とか、カール・ドライヤー監督のこととか)が、長くなりすぎるのでもう止めにします。
すでに長いですが。

最初に書いたように本作はクロージング特別上映という形で上映します。
ということで入場無料です。無料ですよ、無料。
映画史に残るこの名画を大きなスクリーンで是非ご覧ください。

自分もこっそり劇場入って観ます。
シフト入ってても知りません。サボタージュします。
すみません冗談です。

では。