SAPPORO ショートフェスト特別プログラム!

2011年10月30日 01:57

こんばんは、先日も登場しました西本です。
最近は、北大に銀杏並木を見に来る観光客が多いですね。私は銀杏並木を見るのは今年で3年目になりますが、まだまだ飽きません。毎年楽しみにしています。

さて、どうでもいい話は置いておいて、
今日は、短編映画の魅力をお伝えしにやってきました。

CLARK THEATER2011では、
今年の札幌ショートフェストで上映された学生映画の中から厳選された9作品を特別に上映します。
日本だけでなく、フランスやチェコ、韓国など様々な国の学生によるショートムービーが楽しめます。
今日は、そのなかでも個人的にオススメの4本をご紹介!

・Look before…(チェコ/8min)

高層ビルの上から、今にも飛び降り自殺をしようとする男性。
彼は、向かい側のビルに思い詰めた顔をした女性が立っていることを発見します。
すごい状況設定に思わず笑っちゃいます。このあと、どうなるの!??って感じです。
あまり色々言うとネタバレになるので、これ以上は言いません!

・ジョセフィーヌという名の女の子(フランス/22min)

「私は、匂いを嗅いで物事を判断する。」というジョセフィーヌ。
ジョセフィーヌという名前は、1920年代に、パリで一躍スターになった黒人歌手ジョセフィーヌ・ベイカーにちなんで名付けられたんだとか。でも本人はダンスには興味無し。
彼女は、少しというか、かなり変わっている。でも本人は「平凡な人生」と言う。
彼女の言動は、大半がぶっ飛びすぎていて理解しがたいけれど、時に私たちに共感を呼び起こさせる。
強がって「死んでも結婚しない!」と言ってしまったり、妹が自分より可愛かったり・・・
ああ、なんかそういう状況、ある、ある。って思ってしまう人は多いと思う。
自分に自信のない女の子に、ちょっとだけ元気を与えてくれる映画です。

・ブロークン・ナイト(韓国/22min)

今年の札幌ショートフェストで作品部門のグランプリを受賞しています。
物語の主人公は、偽装事故で金を稼ぐおじさん。しかし、逆に彼は当たり屋カップルに狙われターゲットにされてしまうのです。
ここから、おじさんの転落劇が始まります。
最後まで飽きさせない展開で、終止ドキドキしまくりです・・・。
おじさん、今日もいつもと同じ夜が更けるだけだと思ってたんだろうになぁ・・・。
ここ最近、いちばん面白かった短編。たった22分で、こんなにも物語に引き込まれるなんて。。すごい!

・rain town(日本/石田祐康/9min55sec)

石田祐康監督の京都精華大学卒業制作として作られたアニメーション。
石田監督の「フミコの告白」は、NHKの番組「デジタル・スタジアム」で「時をかける少女」などで有名な細田守監督に紹介されていたようです。(凄い!)
一年中雨が降る町に、ある少女が迷い込んでしまうという物語が、静かなピアノ演奏にのせて描かれています。
この作品は、子供の頃の気持ちに戻ったような、なんだか懐かしい気分にさせてくれます。
心地よい余韻のある作品だったので、プログラムの一番最後に持ってきました。
(余談ですが、一年中雨が降る町というと、昔読んだ松本零士「銀河鉄道999」の一年中嵐が吹く惑星を思い出しました。)

短編映画は、独特の中毒性がありますよね。長編映画にはない展開の仕方などにハマってしまうと抜け出せません。
しかも、今回集めた8作品は全て学生の手によるものばかりです。
自分と同じ身分の人たちが、ここまで人を楽しませることができるなんて、信じられません。
また、作品提供にご協力下さったSAPPOROショートフェストさん、本当にありがとうございました。

クラークシアターまであと3日!いよいよ本番がすぐそこまで迫ってきました!
会場でお会い出来るのをスタッフ一同楽しみにしています☆

障がい者割引のお知らせ

2011年10月29日 18:25

料金について、新たな変更がございます。

CLARK THEATERでは、障がい者の方および付き添いの方は、映画をそれぞれ前売り料金の1プログラム400円でご覧になれます。
その際には、受付にて障がい者手帳をご提示ください。

開催直前の変更および告知となり、ご迷惑をおかけ致しますことをお詫び申し上げます。
当日のご来場をお待ちしております。

アヴァンギャルドの女神、マヤ・デレン

02:12

こんばんは、シュルレアリスト西本です。
最近めっきり寒くなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今日は、
シュールな夢を見ていたいアナタに、とっておきの映画をご紹介致します。

CLARK THEATER 2011で上映される、マヤ・デレンという監督の作品です。
今回は彼女の作品だけでなく、その作品たちをより楽しんで頂くためにドキュメンタリーも上映します。

「マヤ・デレン・・・ってだれ??」という方のために、少しだけ彼女に関する説明をさせて頂きます。

マヤ・デレンは、1917年ウクライナのキエフに生まれますが、ユダヤ人迫害に追われ、まもなく家族とともにニューヨークへ引っ越します。
大学では政治学やジャーナリズムを学びますが、ひょんなきっかけから人類学へも興味を持つようになりました。
その後、26歳で(若い!)映画史に残る傑作「午後の編目」を製作・発表。この映画は、1947年カンヌの実験映画部門でグランプリを獲得します。
この作品で、彼女の評価は決定的なものになりました。しかし、彼女は6本の短編映画と1冊の著作を残した後、44歳という若さで亡くなってしまうのです。

彼女は、映画作家、人類学者、振り付け師、ダンサー、巫女といった肩書きを持ちます。
この肩書きの多さ、あるいは幅広さから、皆様はきっと「この人、ただ者ではないゾ!!」という予感を抱くでしょう。
そして彼女の映画を観れば、その期待は決して裏切られません。

ここからは、彼女が残した6作品のなかから、3作品に焦点を当てて個人的なコメントをさせて頂きます。

・午後の網目(1947年)
映画史に残る傑作と言われています。
この作品は、まるで誰かの夢の中を覗いているような感覚にさせてくれます。
夢に秩序がないように、この映画にも秩序はなく、
観る側にとってはある種の置いてけぼりを食らう感がありますが、これがなぜか私には心地よく感じます。
「陸地にて」とともに、夢をショットのつなぎで表現しようとするなど、とてもシュールレアリスム的な作品だといえます。

・変形された時間での儀式(1946年)
ドキュメンタリーのなかで、彼女は「映画は時間の芸術」だと語ります。
そして彼女は、「スローモーションでは、動きの構造がわかる。速い動きでは、それが一連の動きに見えても、スローでは迷いや震え、反復が見える」と続けます。
「変形された時間での儀式」は、彼女のこの言葉を頭に入れて観ると少し見通しがよくなる映画だと思います。
この作品のなかでマヤは、映像を自在に一時停止させたり、スローモーションにしたりします。
作品中のスローになっている動きに注目することによって、彼女の意図を汲み取ることが出来るような気がします。

・夜の深み(1952年〜59年)
6作品の中で一番ロマンチックな作品です。ドキュメンタリーでは、この映画の撮影風景も覗く事が出来ます。
マヤの映画は基本的に静かですが、この映画は当時彼女の夫だったテイジ・イトーの音楽も楽しみのひとつだと思います。テイジ・イトーは現代音楽作家で、「午後の編目」の音楽も担当しています。(そのため、「午後の網目」の音楽は日本風です。)

ドキュメンタリーでは、彼女の知人によるインタビューだけでなく、マヤデレン自身の言葉もたくさん聞くことができます。入念に考えられて発せられるという彼女の言葉は、とても格言的なものが多く、聞いていてはっとさせられます。
また、マヤがハイチで撮影したブードゥー教の映像も個人的には興味深いものでした。

ここまで長々と読んで下さった方、どうもありがとうございます。
少しでも興味を持って下さった方は、ぜひクラークシアターへお越し下さいね!

次回はショートフェストのプログラム紹介で登場します。ではまた!